自分探しというとなんだか漠然としたイメージですが、
心理学の用語である「承認欲求」というとかなり求めているものの姿が具体的に浮き彫りになってきます。
承認欲求とは簡単に言えば、他人に自分の存在や能力を認めてもらいたいという気持ちのことです。
人は誰でも叱られるのは嫌ですし、褒められると嬉しい気分になります。
しかし社会に出て仕事をするようになってくると、叱られる機会は増えていきますが、
反対に素直な気持ちで褒めてもらえる機会はどんどん減少していってしまいます。
例えば役者さんやモデルさんといった人の前に出る職業をしていて、
人気もついてくれば「カッコイイですね!」「素敵です!」「あなたのようになりたいです!」といった言葉も聞かれますが、
平凡なサラリーマンとして生活をしていると、日常業務でちょっと成功したときですら褒め言葉らしいものをすなおにかけてもらえないこともよくあります。
承認欲求自体は人が持つ感情としてごく当たり前のことであり、
人間の欲求を5段階で示した有名な「マズローの欲求5段階説」では人から認められたいという気持ちは「自己実現欲求」として、
人が持つ欲求の中でも最も上位に来るものとして位置づけています。
ただしあまりにもその承認欲求・自己実現欲求が強すぎると、周囲に対して強い不満を抱いたり、
自分自身に不要な劣等感を持ってしまったりします。
「こんなに頑張っているのにどうして誰も認めてくれないんだろう」
「自分はもっと素晴らしい活躍ができるはず」
といった気持ちが強くなってくると、今ここにいる自分は本当の自分ではなくて、
別の場所で別のことをすればきっと全く違った認められ方をするはずというふうに考えるようになります。
転職を繰り返したり、些細なことを理由に進路を変更したりするような人はほとんどといってよいほどそういった気持を強く持っているものです。
承認欲求は、自分の生きる力となるモチベーションにもなるものですが、
反面で本当なら足元にある幸せを見失わさせてしまう難しいものであります。
それまで持っていた強すぎる承認欲求を捨てて、褒められるための行動をやめるようにしたことで、
気持ちが楽になり新しい生き方を見つけたという例もあります。
自分探しをするときに間違いなくキーワードとなる「承認欲求」ですが、
できることなら積極的な意味で自分の人生を振り返り新しい道を作っていくための方法に生かしたいですね。