よく偉人や一流の経営者たちの伝記を読んでいると、
必ずといってよいほど「人生の転機」というものが登場してきます。
それまで全く別の道を歩んでいた人が、恩師や友人など素晴らしい人と出会ったことでそれまでの
進路を大きく変え、その後別の道を歩むように努力していったという話は非常によく聞かれます。
それまで引っ込み思案で引きこもりがちであった子供が、
優しい先生の一人と出会ったことをきっかけにカウンセラーとしての道を
選ぶようになったという場合や、利益やキャリア重視でバリバリ仕事をしていた若手医師が
高名な先輩医師と出会って地域医療の道を選ぶようになった場合など、
歴史に名を残すような有名人ばかりでなく、
一般に生活をしている人たちにも、そうした出会いはよくあります。
また同じくらいによく聞かれるのが何らかのショックな出来事があって、
そこから社会のためになるようなことをしたいと強く思うようになったというケースです。
両親や配偶者など近い存在であった人の死亡や、友人・知人の巻き込まれた事件や事故を
経験したことで、その後の自分の進路を大きく変えたという経験を持っている人もたくさんいます。
自分の人生を「これでいいんだろうか?」と感じるきっかけは、
主にそうした人生の転機に訪れてくるようです。
人生の転機となる出来事には、少なからずショックが伴います。
それまで「あたりまえ」に過ごしてきたことが実は全く「あたりまえ」ではなかったという、
その単純なことに心の底から気がついた時に、
人は何かを変えたい、このままではいけないと思うようになります。
ですが、そうした大きなショックを受けて自分の進路や考え方を見直すようになった人は、
そのショックがなければ全く道を変えなかったかというと、そうともいいきれないような気もします。
なぜなら、同じような強いショックを受ける経験をした人であっても、
その後のものの考え方が全く変わらない人も世の中にはたくさんいるからです。
個人的な見解も少し交えて話をしますと、
そうした何かのきっかけをもとに本当の自分の姿に気がつく人というのは、
それ以前からも何らかの形で潜在的に生活に対しての疑問を持っていたのではないかと思います。
きっかけは単なるトリガーであって、弾丸が発射できるような準備はもう整っていたと言うことです。
もし今漠然と「何かおかしい」という疑問を持っているなら、
あとはきっかけが訪れるのを待っているだけなのかもしれません。
人生の転機は、きっとすぐそばにあります。